令和6年6月7日(金)、東郷町イーストプラザ いこまい館にて、「これからの人生のために~いずれあなたもおひとりさま?~」と題して、成年後見セミナーを開催しました。
130名という多数の住民・関係者にご参加いただき、「おひとりさま」に対する関心の高さがうかがえました。
開会に先立って東郷町役場健康福祉部長荻野直樹氏にご挨拶いただき、続いて尾張東部権利擁護支援センター理事長の加藤佳子よりご挨拶申し上げました。
第1部では「おひとりさまの法律課題~成年後見制度でできること・できないこと」と題して、弁護士の加藤淳也先生より講演をいただきました。
考えられる「おひとりさま」の法律課題のうち、判断能力があるうちにできること、成年後見制度でできること、成年後見制度でできないことを、任意後見制度や遺言、成年後見制度の詳しい説明や事例を交えながらわかりやすくお話しされ、アンケートでは「有意義なお話しだった。」と不安が減ったとのお声をいただきました。
第2部では「おひとりさまになっても地域で暮らし続けるために」をテーマに、東郷町役場高齢者支援課の須賀利恵子課長、名古屋掖済会病院医療相談室室長の林本隆幸氏、NPO法人ファミリーステーションRinの磯畑香苗氏をパネリストに、加藤淳也先生をコメンテーターにお招きし、当センターの住田敦子センター長をコーディネーターとしてパネルディスカッションを行いました。
須賀課長からは、東郷町の実情や事例を紹介いただき、おひとりさまが地域で暮らし続けるためには、社会「と」いかにつながりを保てるかという「おひとり様側の視点」だけではなく“社会「が」いかにつながりをたもてるか”という、友人や近隣住民、民生委員、行政等周りが本人の変化に気付き、支援につなげることができるかという視点が必要だとお話しいただきました。
林本氏からは、「おひとりさま」の場合、必要な治療が遅れる可能性があること、自ら望んだ治療が受けられない心配があると示されました。そして、外出先で倒れて救急搬送された方の事例から、「おひとりさま」は、救急搬送された時にどんな医療を受けたいかどこでどんな最期を迎えたいかをあらかじめ考え、周りの人に示しておくことが望む医療を受けるために大事なことであるとお話しいただきました。
磯畑氏からは、居住支援では、入居前の支援だけではなく入居後も見守りや行政手続きへの同行等継続的に支援を行っていると紹介いただき、そのためには本人面談を丁寧に行い、本人とともに支援者を探しながら、本人の意思を尊重することを心がけておられるとお話しいただきました。孤立を防ぎ、地域とつながりながら誰もが安心して地域で暮らし続けられる支援体制を作っていきたいと抱負を述べられました。
おひとりさまが「地域で自分らしく暮らしていくために」、社会のほうからつながりを作り、孤立を防いでいくこと、おひとりさまも自分がどう生きていきたいか、どんな医療を受けたいかを自分で考え、決めたことを周りに伝えておくことが重要だと感じるパネルディスカッションでした。
このセミナーが「おひとりさま」となった時の不安を感じておられるかもしれない方にとって少しでも参考になるものとなればよいと考えております。
センターではこれからも地域の権利擁護の向上のために、成年後見制度に関するセミナーの開催や、権利擁護に関するご相談の対応、市民後見人の養成等活動してまいりますので、よろしくお願いいたします。

