令和4年度権利擁護支援プロジェクト高齢者・障害者虐待対応研修会 実践的に学ぶ虐待対応~グループでロールプレイングを体験 「聴く」力を育てよう~

 令和5年3月8日(水)、日進市障害者福祉センターにて高齢者・障害者虐待対応研修会を開催しました。今回は、今年度最後の虐待対応研修会です。これまでの虐待対応研修会において、本人や養護者にどのように声をかけるか、また日常生活の経過をいかにきちんと聴きとることができるかは、支援者自身の「聴く」力にかかっているという学びを得ています。そこで今回はタイトルにもある通り、「『聴く』力を育てる」というテーマを設定し、ロールプレイングを取り入れて参加者の方にも積極的に考えて参加していただく研修会を企画しました。

 研修会では、ある1つの架空事例について3つの場面を取り上げ、その場面ごとにどのように本人や養護者に話を聞いていくかを参加者の方に考えていただきました。取り上げた場面は、①養護者が本人に対して暴言を言っている場面での声掛け、②虐待対応における「事実確認」での対応、③養護者と分離することについて本人と合意形成をはかる場面の3つです。参加者の方からは、実際にやってみると難しかったとの声も聞かれましたが、実際にその役をやってみることで気づいたこともあったとの声もあがっています。グループで考えていただいたロールプレイは実際に発表していただき、講師の方から解説、フィードバックをもらう形で学びを深めていきました。なお、講師には本研修会ではおなじみとなりました、当センターの権利擁護アドバイザーを務めていただいております上田晴男先生をお招きし、大変具体的かつ丁寧なご助言をいただきました。 

 上田先生の解説では、当事者たちが困っていることを1から10まで言ってくれることはまずありえないので、本当に相手の話を聴きたい、知りたいのであれば常にやりとりをしていくことが重要とのご指摘をいただきました。時には支援者自身の生活経験をネタにして相手の言葉を引きだしながら、「質疑から会話(聞かれたら答える)、会話から対話(当事者が自分から話し出す)につなげていく必要がある」とのことです。また対話にたどり着くには、当事者に「この人は話を聴いてくれる」という認識を持ってもらうことが大切なので、そこはやはり支援者自身の力量や姿勢にかかっていると教えていただきました。

 研修会を終えて感じたのは、今回テーマとした「聴く」力というのは虐待対応のみならず、日々の支援でも大変重要なポイントだということです。こちらの聴きたいことだけを聴いていなかったか、相手の話を聴けていたか、自分自身の実践を振り返るきっかけにもなりました。参加してくださった皆様はいかがでしたでしょうか。研修自体が限られた時間で申し訳ない気持ちもありますが、少しでも何か気づきや学びを得て、それを実践の場に活かしていただけることを願っております。

さて、虐待対応研修会は来年度も開催されます。来年度は今年度の反省を活かして、より実践に活きる研修会を目指していきます。皆様、来年度もどうぞ宜しくお願いいたします。