令和4年度権利擁護支援プロジェクト高齢者・障害者虐待対応研修会「Q&Aで学ぶ虐待対応の実務~これってどうなの?」を開催しました。

令和4年11月9日(水)、日進市障害者福祉センターにて高齢者・障害者虐待対応研修会を開催しました。毎年7月~12月までは月に1度本研修会を開催しておりますが、今年度10月~12月までは行政、地域包括支援センター、障害者基幹相談支援センターの方限定の研修会として企画をしました。虐待対応における要となる方々とともに学びを深めることで、虐待対応における疑問や悩みの解消、さらには虐待対応における支援力向上を目指しています。

 さて、今回の研修も10月に引き続いて、参加者の方々から事前にいただいた虐待対応における質問や悩みをもとにセンター職員が寸劇を行い、イメージを共有した後で講師からの講義・解説をしていただくという内容です。講師には、一般社団法人支援の思想研修会理事長、また当センターの権利擁護アドバイザーである上田晴男先生をお招きしました。

 寸劇では、精神疾患があると思われる娘から本人への心理的虐待、身体的虐待という架空事例について、①娘が本人のサービス利用を拒否している、②分離後、本人が娘に会いたいと訴えているという2つの場面を取り扱いました。上田先生からは、まず何よりもなぜ虐待状況に至ったのか、要因分析を行わないことには具体的な手立てを講じることはできない、要因分析においてもただ状況を羅列するだけだったり、当事者の言動のみを取り上げるだけでは意味がないとのご指摘がありました。実際に虐待ケースに遭遇した際、「なぜこのような虐待状況に至ったのか」の分析を行うステップを飛ばして、現象に対する一時的な手当を行うだけでは意味がないということです。

 また事実確認を行う場面では、世間話風に相手の反応をみながら核心に近づいていくことが重要で、どう話を展開するかは各々の生活経験、コミュニケーション力、対人援助スキルにかかっているとのことでした。支援者側の聞きたいことをこちらの都合で聞くのではなく、生活の話の延長線上で入り込んでいく必要があります。渦中にいる当事者の方は、自分の辛い状況を自分では説明できない、そのような余裕はすでに残されていないことがほとんどだと思います。だからこそ虐待ケースの状況の評価判断は当事者たちの言動のみに頼るのではなく、専門職として評価判断していく必要があり、支援者としての力量をあげていく必要があるのだと強く感じました。

 今回多くの事前質問をいただき、その内容から支援者の皆様がいかに普段から悩みや葛藤を抱えながら虐待対応されているのかを窺い知ることができました。当センターではこのような研修会の他、個別のケースについて当センターの権利擁護アドバイザーである上田晴男先生からスーパービジョンを受けることもできますので、ぜひ積極的に活用していただきたいと思います。